ギャルレジ 〜なんちゃって研修医。〜

辛い辛い国試を乗り越え晴れて研修医に。 右も左も分からない医療の現場で失敗と試行錯誤を繰り返す毎日。 病院のどこへ行っても『ギャル』と呼ばれる、金髪ど派手のあんぽんたん。

御家族のコトバ

奄美大島で研修を始めて半月が経つ。


初めて降り立つ島での生活も少しずつ慣れてきた。


大学病院とは違い、地域の市中病院は軽症の患者も多く、社会的入院の数も少なくない。




そんな中、慢性心不全の患者様が今日未明に亡くなった。

もともとcodeがDNARだったため、心臓マッサージや挿管管理の希望はない患者様。




昨日は海の日で休日。

本日朝までは当直体制のため、今朝未明の急変は当直での対応であった。


主治医のわたしは、彼の御臨終には立ち会えず、わたしの同期が対応してくれた。


それが当直というものではあるが、やっぱりその患者様の最期を診てあげられなかったのは悔いが残る。



自分なりに丁寧に診ていたつもり。

毎日顔を見に行って、口数は少ないなりにもその日の体調を聞き、心不全の症状や経過を確認していた。

心不全の治療はうまく行っていて、そろそろ退院できるかなぁなんて考えていたときの急変だった。


その都度御家族に病状説明をしたり、御家族の希望を聞き入れたりもした。



霊安室で見た患者様の顔は、わたしが毎日見ていた同じ顔をして寝ていて、病院着からお着物に着替えていらした。


病院職員のお別れが終わり、御家族に経緯の御説明をするのも主治医の仕事。


今までの経過。

今回の急変までの経緯。

死因。

全てを、ゆっくりとわかりやすい言葉で、なかば自分を理解させるように話した。


自分でも理解できてないこと、悔いが残ることがたくさんある。

なんでかな、なにがダメだったのかな、どうすればよかったのかな。

考えはじめれば止まらない。



毎日のように会いに来ていた娘様が、涙ぐみながら、わたしに「ありがとう。」と言った。


「先生に毎日丁寧に診てもらえて幸せだったと思う。父の肺が悪かったことも、心臓が悪かったことも、よくわかってたからこうなったこと驚いていないんです。」と。



そして、こう仰った。



「先生はまだ若いから、これからいろんな経験をして、素敵なお医者さんになってね。」と。



この方のお父様に、


わたしはもっとできることがあったのかもしれない。


この方のお父様は、


もう少し長生きできたのかもしれない。



それでも、私にありがとうと感謝してくれた。


そして、素敵な医者になってくれと、励ましてくれた。




このコトバは一生忘れてはいけないコトバ。



この御家族のためにも、わたしはもっと成長しなければいけない。



この御家族の、先生に診てもらえてよかったという言葉に見合う医者にこれから近づいていくためにも。